
東洋はり灸整骨院 院長の石丸です。今回は、西洋医学の特徴について解説いたします。
西洋医学にはさまざまな特徴がありますが、ここでは5つのポイントにしぼってお話ししましょう。
1.機械がすべて
1つ目は、「機械がすべて」ということです。
かつては医師が、実際に患者さまのお腹などをさわって診察してくれていましたが、最近では、機械に頼ることが多くなり、「人が人をみる」ことがなくなり、「機械の検査結果で人体をみる」方法になっています。
しかし、科学が人体を証明できている割合は、わずか20パーセントといわれています。80パーセントは未知の世界なのですから、機械にだけ頼っていては、治る患者さまも治らなくなるのではないでしょうか。
東洋医学で鍼灸施術する私からすると、頭痛を改善すること1つとっても、西洋医学では難しいだろうと思っています。実際、偏頭痛の患者さまが病院で脳の検査などをして、治ったという話をあまり聞いたことがありません。
頭痛の症状がある患者さまは、
- 温度の変化
- 台風の接近
- ストレス
- ホルモン周期
などが原因になっている可能性があります。ですから、機械で脳の断面図を撮ったとしても、その原因はつかめないのです。
2.触診能力の低下
2つ目は、「触診能力の低下」です。
先ほども申し上げたように、西洋医学にはかつて、医師が実際に主訴部位をさわって診察をするという、「人が人をみる」治療をしていた歴史もあります。しかし、機械が発達した現代では、機械こそすべてだと考えられるようになりました。
機械が貢献する部分も大いにある一方で、医師は、患者さまの顔をあまりみることもなく、「お薬を出しておきますね。はい、次の方どうぞ」といったやり取りを行っています。大きな病院であればあるほど、こうした治療を経験した方が多いのではないでしょうか。触診能力の低下は大きな問題です。
3.科が分かれ過ぎ
3つ目は、「科が分かれ過ぎ」ているということです。
ある大学病院では、科が36にも分かれているそうです。ある部位に大きな病変や病態がある場合は、身体をありとあらゆる科に分けて見ることにメリットがあるでしょう。しかし、ほとんどの患者さまはさまざまな症状を抱えています。科をこれほど多くに分けてしまっていては、全体像を捉えられないため、治すことは難しくなるのではないでしょうか。真の病が見つけらずに、あらゆる薬で対処しているのが、現代医療の現実です。
東洋医学には、そもそも、科を分けて考えるという発想が存在しません。東洋医学は、「森全体を見て木を治す」という考え方を持っています。森(=身体全体)をみて、木(=主訴部位)を治すというものです。
一方で、西洋医学は、木をひとつひとつ見ても、森を見ることはありません。頭、鼻、呼吸器、胃、大腸、肩、ひじ、手首、首などで科が分かれて、それぞれをみています。これでは、その方の全体像を把握することはできません。
4.治らなくても生計が成り立つ
4つ目は、「治らなくてもメシが食える」ということです。
少し乱暴な物言いですが、これは日ごろ、東洋医学を実践する私たちが考えていることです。東洋医学は、来院された方のお悩みを解決しないことには、鍼灸院として成り立つことはありません。しかし、病院では、治さなくても生計を立てることができます。
病院には、製薬会社や行政機関などとの強い結びつきがあり、予算と大きな影響力を持っています。患者さまも、何かの症状が出ると、まず病院に行きます。予防接種なども、多くの人が受けています。その結果、たとえ治せなかったとしても、容易に生計を立てられるのです。
私たちのような東洋医学の鍼灸院は、治さなければ、生計が成り立ちません。ですから、治すことだけを考えています。
- 「どうしたら改善するのか」
- 「どうするとよくならないのか」
そういったシビアな世界で生きているのです。
5.慢性病が不得意
5つ目は、「外科が出発点であり、慢性病が不得意」であるということです。
西洋医学は、外科を非常に得意にしています。脳腫瘍やがん、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症といった「生きるか死ぬか」といったものが中心です。
西洋医学の成り立ちは、戦争医学です。銃弾で倒れた兵士の弾薬を抜き、縫合してきたのがその出発点です。ですから、外科や救急救命といったことを非常に得意にしています。
その一方、慢性病は不得意です。
- 「高血圧の場合は、一生薬を飲みつづけてください」
- 「糖尿病は、一生治りません」
- 「高脂血症の方は、薬を飲んでください」
- 「偏頭痛も薬で抑えてください」
- 「生理が終わると、治るかもしれません」
このように、慢性病を治すことはできないのです。
私はよく西洋医学の医療関係者に「慢性病で治せるものはありますか」と尋ねますが、返答があったためしがありません。すべて、薬に頼っているからです。
- 頭が痛いなら鎮痛剤
- 血圧が高い人には降圧剤
- ぜんそくがあれば気管支拡張剤
- アトピーにはステロイド
- 逆流性食道炎の症状には胃酸を抑える薬
といった具合で、症状を抑えるための治療が西洋医学です。
一方の東洋医学では、なぜその方にその症状が出ているのかを考えます。症状があるのは、原因があるからです。その原因を突き止め、それを治すことで、症状を出させないのが東洋医学です。
おわりに
いかがでしたか。
今回は、西洋医学の特徴についてお話させていただきました。
西洋医学には、こうした5つの大きなポイントがあります。生きるか死ぬかといった状況を得意とし、それ以外はさほど得意ではありません。そこをよく覚えておいていただきたいと思います。