サッカーやラグビーなど、ボールを蹴る動作の多いスポーツにおいて、鼠径(そけい)部に痛みが生じることがあります。これは鼠径部症候群(グロインペイン)を発症しているサインかもしれません。
鼠径部症候群は一度発症すると改善しづらい傾向にあるため、早期の対処と予防が必要です。本記事では鼠径部症候群の原因と、東洋医学の視点から改善方法について詳しく解説していきます。
鼠径部痛症候群(グロインペインとは?)
鼠径部症候群(グロインペイン)は、サッカーやアメリカンフットボールなど、ボールを蹴ることの多いスポーツでの発症例が多いスポーツ障害のひとつです。
キック動作やランニングなどのくり返しの運動によって、鼠径部や下腹部に痛みが生じたり、圧痛が生じたりする場合もあります。一度発症するとなかなか改善しづらいのも、鼠径部症候群の特徴です。
鼠径部症候群の原因
体幹筋力の低下に伴う動作の不安定性が原因のひとつと言われており、片足立ちでキックを多くするサッカーなどの動作そのものが発症の誘因となります。また、全身の身体機能が低下することでも起こりやすくなるため、一度発症すると慢性化しやすく、改善後も身体機能が低下するたびに再発してしまう傾向にあります。
しかしスポーツの練習内容や練習頻度、環境、生活習慣などの影響も考えられるため、原因をひとつに絞ることが難しい病気です。
東洋医学的な視点から考える原因
東洋医学には『不通即痛…ふつうそくつう』という考えがあります。これは流れていないから痛みが出るという意味です。ここでいう流れとは、東洋医学では以下を指します。
気(き)
人間の体を動かす根源となるエネルギーとなるものが気です。自立神経系や内分泌系をつかさどる働きを持ちます。
血(けつ)
体内に流れる赤い液体、いわゆる血液を指します。全身に酸素や栄養を運んだり、ホルモンバランスの調整をしたりするのが特徴です。
水(すい)
体内に流れる血液以外の液体を指します。リンパ液や尿などが主です。
東洋医学では、人間の身体はこの気血水で成り立っていると考えます。気血水は、五臓(肝・心・脾・肺・腎)のバランスにより左右されます。つまり、五臓の不調が不通促痛を招く原因なのです。
東洋医学で行う鍼とお灸を用いた経絡治療は、脈を診て身体のアンバランスさを整える『体質改善』を行うことで、症状改善につなげていきます。
鼠径部症候群におすすめのツボ 3選
お客様からよく、「自宅でできる東洋医学的なケア方法はありませんか?」とご質問いただくことがあります。そのため、今回は鼠径部症候群にオススメのツボを3つご紹介します。以下のツボにお灸や鍼シールを貼ってあげましょう。
①気衝(きしょう)
足の血流改善に効果を発揮するのが、足にある気衝です。足の付け根にあるシワの中央部が目印となります。
②陽陵泉(ようりょうせん)
外側部の痛みには、膝にある陽陵泉が効きます。膝の外側にある骨の出っ張りの、すぐ下にあるくぼんだ部分が目印です。
③蠡溝(れいこう)
内側部の痛みには、くるぶしにある蠡溝がオススメです。うちくるぶしから親指5本分くらい上にあります。
痛みと食事の関係
実は、「日々の食事」も痛みには関係しています。痛みが強いうちは、
- さば
- さんま
- くるみ
- えごま油
- あまに油
などを積極的に摂取するとことをオススメします。
痛みに悩むお客様の、日々の食事内容を詳しく聞いていくと『カップラーメンやアイス、お菓子類、清涼飲料水などをよく口にしている』という方が少なくありません。これらは血を汚し、体を冷やす作用があるため不通促痛まっしぐらになってしまいます。
これらの食品を避け、食事の引き算をしていくことが悪化を防止するためには大切です。
おわりに
今回は鼠径部症候群(グロインペイン)についてお話しました。鼠径部症候群は一度発症すると改善しづらくなるので、予防と早めの対策を心がけましょう。
こうした慢性痛には、不通即痛を取り除いて体質改善を促す東洋医学の鍼灸が有効です。長引く鼠径部痛にお悩みの方は、ぜひお気軽に東洋はり灸院までご相談ください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。