鍼灸医学とは

鍼灸医学

鍼灸で皆さんが思い浮かべるのは、鍼を打っていく施術ではないでしょうか。

しかし実は、鍼灸医学とは、決して「鍼を打つ」ことではありません。究極の鍼灸医学は、「鍼ともぐさを用いて患者さまの五臓六腑を整えること」です。

四診法について

施術

東洋医学に独特な診断方法に、「四診法」というものがあります。これは、

  1. 「望診」
  2. 「聞診」
  3. 「問診」
  4. 「切診」

の4つをまとめた総称です。

望診(ぼうしん)

「望診」は、患者さまの印象のことをいいます。皆さんが人に会ったときにも、目つきが鋭いとか、その逆に弱々しいといった印象を抱くかと思いますが、これを東洋医学の見地からみるということです。

聞診(ぶんしん)

次に「聞診」は、患者さまの話し方や声のトーン、においなどを参考にすることです。

問診(もんしん)

「問診」は、患者さまが実際に感じておられる不調などをお尋ねし、やりとりをすることです。

切診(せっしん)

最後に「切診」は、脈をみる、お腹を触るといった行為を指します。

この望聞問切を総称して「四診法」といい、これを行ってこそ、真の東洋医学であるといえます。この「四診法」を行わずに、特に、脈をみたりお腹をみたりせずにいきなり鍼を打つような鍼灸院は、鍼灸を行っているとはいえません。

真の鍼灸治療とは

はり施術

かつてドイツで、東洋医学が盛んになりかけたときがありました。ドイツ人が、ツボを解説した本を見て、その通りに鍼を打っていたのです。何人もの人で効果を確かめたものの、全然効かないから、でたらめだと断じて鍼灸の本を捨てたという経緯があります。

伝統的な鍼灸を行う私たちからすれば、そのような鍼の打ち方をして効くはずがないとしかいえません。鍼灸を行うつもりであったかもしれませんが、そのドイツ人は、この『四診法』を踏まえずに治療しようとしています。それでは本当の東洋医学ではなく、治るわけがないのです。

「四診法」という東洋医学の土台の上に、鍼ともぐさという道具を用いて、患者さまの生命力、五臓六腑を整えるのが、真の鍼灸だと確信しております。