【うつ病と脳内の神経伝達物質の関係】オススメの献立も紹介!

脳

現在、日本人の7人に1人はうつ病にかかると言われており、この数字を見ると「多い」と感じられるのではないでしょうか。

うつ病を改善するには薬を飲むのが一般的ですが、一時的に症状がやわらいだとしても根本的な原因が改善されていなければ、薬が切れるとまた症状が出てきてしまう方が多くいらっしゃいます。

今回はうつ病と生活習慣や食生活の関係について解説するとともに、オススメの献立もご紹介したいと思います。

【動画解説】健康的で理想的な献立【うつ病】

西洋医学と脳内の神経伝達物質

快楽物質

西洋医学では嬉しさや悲しさなど人の感情は脳内の神経伝達物質によって制御されていると考えられています。つまり、この神経伝達物質の乱れが起こるとうつ病になるといわれています。

この神経伝達物質の中でも代表的なものはドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンの3つです。

1.ドーパミン

集中力を高める効果があり、快感や陶酔感に大きく関わりがあります。

2.ノルアドレナリン

闘志を燃やしている時など興奮状態に出る物質です。たとえば、試合やプレゼンテーションの際になどにはノルアドレナリンが多く出ている状態です。

3.セロトニン

ドーパミンやノルアドレナリンの分泌量を調節、抑制する役割があります。この中でうつ病ともっとも関係が深いのがセロトニンと言われています。


セロトニンが少なくなると気分の落ち込み、やる気の低下などの無気力状態をはじめ、睡眠がとれない、食欲の低下など、生活に支障をきたす症状が出てきます。さらに、セロトニンはドーパミンやノルアドレナリンの分泌量を調節するブレーキの役割を持っているため、セロトニンが減ると必然的にドーパミンやノルアドレナリンの分泌量が多くなってしまいます。

ノルアドレナリンの分泌量が多くなると、攻撃的になりイライラしやすかったり、キレやすくなってしまいます。ドーパミンの分泌量が多くなると、何かに没頭しすぎる傾向があります。たとえば、食べても食べても満足できず、自分の食欲が抑えられなくなったり、ギャンブル依存症、アルコール依存症などを引き起こします。

脳内の神経伝達物質が乱れるとこういったさまざまな症状が起こるため、特にバランスを保つ役割をしているセロトニンは、精神状態を安定させるためには必要不可欠な物質と言えるでしょう。

ストレスが引き起こす不調

ストレス

東洋医学では陰陽のバランスの乱れや身体のバランスの乱れであらゆる症状が出てくると言われています。健康と体内のバランスは非常に関連性が深いものですが、バランスを崩す原因として挙げられるのがストレスです。

たとえば、やる気をそがれるような強いストレスを感じると呼吸器のバランスが乱れてしまいます。眠れないほど思い悩むストレスを感じると消化器の乱れが出てきます。誰かを憎んだり、恨んだりといった怒りのストレスは肝の働きを低下させてしまいます。

私たちの体内にある内臓はすべて大切な役割を担っており、消化器の機能が低下すると食欲も低下します。肝の働きが低下すると、集中力の低下や物事に対するやる気も低下してしまいます。

その他にも、ストレスによって欲望を抑えきれないため、食欲が増してしまい食べても食べても「食べ足りない」と感じたり、寝ても寝ても「寝足りない」と感じてしまうことがあります。

「ストレスが原因でさまざまな症状が引き起こされる」という考え方は、東洋医学も西洋医学もほとんど同じと言えるでしょう。

セロトニンを作る食材

孫と食事

精神的な不調やうつ病はストレスやセロトニンの不足が原因とお伝えしてきました。これらを改善するためにはどのような対策をとれば良いのでしょうか。具体的には、食生活や生活習慣を整えることで改善できると言われています。

3つの脳内神経伝達物質のお話に戻ると、脳内の神経伝達物資を作るのは日ごろ私たちが口にしている食べ物です。

どんな食べ物にもタンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなど多種多様な栄養素が含まれています。うつ病だけではなく、どのような病気であっても食べ物は大いに関係してくるため、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることが重要と言えるでしょう。

そして、ドーパミンやノルアドレナリンをコントロールするセロトニンが十分に足りている状態が、精神バランスを整えるのにもっとも大切です。まずはセロトニンを積極的に作り出すことを目標にしましょう。

セロトニンはアミノ酸、葉酸、鉄分、ナイアシン、ビタミンB6などの栄養素から作られます。これらの栄養素を含む食材にはどのようなものがあるのかご紹介します。

  • アミノ酸…鶏肉・大豆製品
  • 葉酸…緑黄色野菜
  • 鉄分…レバー、シジミ、海藻
  • ナイアシン…魚・豆類
  • ビタミンB6…鰹・ニンニク・鶏肉

これらを積極的に食事に取り入れることでセロトニンを安定して摂取できるようになり、精神のバランスが整います。

まごはやさしいこ

祖母

精神バランスを整え、毎日健康的に過ごすためにはどのような献立を取り入れるのが良いのか、もう少し具体的に見ていきましょう。

とっておきの語呂合わせがあるのでご紹介します。

「まごわやさしいこ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは精神、身体にとって大切な食材の頭文字をとった語呂合わせで、こちらで紹介する食材を積極的に取り入れると、心身ともにバランスが整うと言われています。

  • ま…豆類
  • ご…ごま
  • わ…わかめ
  • や…野菜
  • さ…魚
  • し…椎茸
  • い…芋類
  • こ…穀類・麹

 一つ一つ詳しく説明していきます。

「ま」

豆類で、良質なタンパク質が含まれています。

「ご」

ごまで、抗酸化作用があるといわれており、健康にとって重要な役割を果たしてくれる食材のひとつです。

「わ」

わかめをはじめとする海藻類で、カルシウムやマグネシウムが多く含まれているため、美容にもよいとされています。

「や」

野菜ですが、特定の野菜だけを摂るのではなく緑黄色野菜、葉物、茎のもの、根菜類など野菜全般をバランスよく摂ることが大切です。どの野菜にもビタミンが多く含まれているため、免疫力UPの効果も期待できます。

「さ」

魚で、特に青魚がよいとされています。青魚に含まれるDHAは脳の働きをスムーズにするため、緊張、ストレス状態を作りにくく、勉強や仕事がはかどりやすくなります。

「し」

椎茸をはじめとするきのこ類です。きのこ類にはナイアシンやビタミンB群が多く含まれているので、椎茸だけではなく、しめじ、舞茸、エリンギ、えのきなど色々なきのこを摂るとよいでしょう。

「い」

じゃがいもやさつまいもなど芋類で、椎茸と同様にいろいろな栄養素が含まれるため、ぜひ取り入れてみてください。

「こ」

穀類、麹で、穀類は特に玄米がオススメです。

玄米は白米に比べてビタミンB1が多く含まれているので、1日のうちで1食だけでも玄米に変えるとよいかもしれません。また、麹や味噌などの発酵食品も身体にとても良い効果をもたらしてくれるものなので、ぜひ積極的に取り入れてみてください。


ご紹介した食材を中心に献立を考えるとバランスよく、身体も喜ぶ食事を摂ることができます。

食事と生活習慣で健康な身体が作られる

多くの日本人を悩ませているうつ病には脳内の神経伝達物質が大きく関係しているとご紹介してきました。その中でもセロトニンがキーポイントであり、他の二つの物質を上手に抑制することで心身のバランスを保つことができます。

毎日の健康を保つうえで生活習慣、特に食事の内容はセロトニンの生成にも大きく関係してきます。身体に必要な栄養素がしっかり含まれた食材を中心に献立を考えると、健やかで安定した毎日を過ごすことができますよ。

露木先生