
東洋はり灸院 統括院長の石丸です。
今回は「海外では鍼灸が身近な存在!日本とのギャップ」と題してお話ししたいと思います。
世界中には200か国近くの国がありますので、すべての国に当てはまる内容ではありません。しかし、アメリカやカナダなどの日本にとって馴染みのある国々の現状を、私が知り得た情報をもとにお伝えします。
【動画解説】世界から見た日本の鍼灸事情
オンライン英会話での話
私はオンライン英会話を受けており、海外の方々とお話しする機会があります。その際、私の職業を尋ねられ、鍼灸師であることを伝えると、鍼灸についていろいろと話が膨らむことがあります。先日もカナダ、オーストラリア、アメリカ、イギリスの女性とお話ししたところ、共通した認識があることがわかりました。
その認識とは、慢性症状やめまい、頭痛、皮膚症状など、日常生活の中で生じる症状は、病院に行っても治らないというものです。そのため、カナダやオーストラリアなどの国々では、慢性症状の改善に東洋医学や鍼灸がスタンダードとして受け入れられているそうです。
これは、私の考え方と非常に近いと感じます。以前から何度もお話ししているように、慢性病や多愁訴は病院では治らないと私は考えています。例えば、高血圧についても、病院では「降圧剤を飲み続けてください」と言われるだけで、根本的な治療にはなりません。
カナダ、オーストラリア、アメリカ、イギリスの方々から「慢性症状やめまい、頭痛などの症状は、病院では治らないことが当たり前だ」と言われ、私も「その通りだ」と共感しました。
しかし、日本では多くの人が引き続き病院に通い、薬を服用し続けています。少し強い表現になってしまいますが、私はこの状況を、ある意味「洗脳されている」と感じています。
このように、日本と比べると海外では鍼灸が身近な存在となっているようです。
メキシコ院の話
また、その他の例として、メキシコの鍼灸事情についてもお話ししたいと思います。
当店の直接の分院ではありませんが、当店で働いていた鍼灸師が、現在メキシコで関連院を運営しており、日本人2人とメキシコ人数名規模の鍼灸院を開いています。
そのメキシコ院の院長と先日、Zoomでお話しした際、メキシコの患者様から「日本はあなたみたいな鍼灸師がたくさんいるから、うらやましいよ」と言われたと教えてくれました。
メキシコ院に来店される患者の症状としては、不安や不眠、胃腸障害が多いそうです。日本で一般的な肩こり腰痛などの症状よりも、内科系の症状を訴える方が多く来店されるようです。
私が話を聞いた感覚としては、メキシコの鍼灸師は、日本でいう歯科医師と薬剤師の間、もしくは薬剤師と同等の社会的信用度があると感じました。
メキシコ院の院長によると、西洋医学のスペシャリストが医師や歯科医師、薬剤師であるのと同様に、鍼灸師は東洋医学のスペシャリストと考えられているそうです。そのため、鍼灸師は歯科医師や薬剤師と同程度の信頼度と社会的認知度を持っているとのことです。
日本における鍼灸
オンライン英会話で聞いた話やメキシコ院での話から、海外では鍼灸が独立した1つの医療として認識されていることがわかりました。しかし、日本ではどうでしょうか。
日本で「鍼灸師をしています」と言うと、「鍼灸師って何ですか?」と尋ねられることがほとんどです。「鍼と、もぐさを使ったお灸をするんです」と説明すると、「あぁ!マッサージをするんでしょ」と誤解されることも多く、海外とは認識が大きく異なると感じます。
日本の鍼灸事情にはさまざまな深い理由もあり、やむを得ない部分もあります。しかし、日本と海外では鍼灸に対する認識のギャップがかなり大きいと感じます。
極端なことを言えば、症状さえ治れば西洋医学でも東洋医学でも、その他の方法でも構わないわけです。しかし、日本では慢性病や多愁訴、不定愁訴の方々が改善しないまま病院に通い続けているため、医療費が増加しているのです。
おわりに
私はこの10年間、慢性病や多愁訴は東洋医学にバトンタッチしてもらえれば、患者数を減らせるはずだと言い続けてきました。しかし、海外では鍼灸がスタンダードになっている一方で、日本ではまだまだ「怪しいもの」と見られているのが現状です。正直に言うと、海外で鍼灸を行う方が楽かもしれないとも思います。
しかし、医療費削減に貢献するためにも、日本でも東洋医学や鍼灸がスタンダードなものとなり、社会的認知度が向上するよう、今後とも努力していきたいと考えています。