今回は「産後うつ」について東洋医学の観点からお話します。
ご自身では気づかないこともありますので、ご家族や周りの方の目にも止まるといいなと思います。
産後は生命力が落ちる
妊娠中に髪の毛が抜けたり、内臓がうまく機能しなくなる妊婦さんがいます。お腹の赤ちゃんを育てるために「気」や「血」を優先的にお腹の赤ちゃんに送るため、母体にトラブルが起きやすくなるのです。そして出産でより一層、「気」や「血」を消耗し、そこからまた母乳で「血」を失うため、「気」や「血」の生成が追いつかない方は心身ともにダメージが大きいです。
「気」も「血も」足りないと心も体も消耗し続けます。それが生命力(生きる気力)が落ちているということなのです。
「体だけ元気がなく、心だけ元気!!」というような心か体かどちらか一方だけ元気なケースは少なく、両方とも一緒に考えないといけません。
精神薬を使うとより生命力が落ちる
- 「赤ちゃんがかわいいと思えない」
- 「子育てが楽しいと思えない」
幸せだと想像していた子育てとはかけ離れ辛い気持ちを抱いていると、心の病院に行ったほうがいいと思う方もいらっしゃいます。病院へ行くと薬が出ることが多いのですが、やはり薬は毒です。薬は石油の副産物でできています。この自然界にないものです。
そういった石油の副産物の薬を飲むと、余計に生命力が落ちます。一時的に精神的に良くなったとしても、それは続きません。
ですから、生命力の落ちた状態で、抗うつ剤などの薬は生命力を余計に落とすのです。
東洋医学と西洋医学
西洋医学と東洋医学は次のように言われています。
木を見て森を見ない西洋医学
今回でいえば産後うつだけを診て、カラダ全体を診ないのが西洋医学です。
森を見て木を治す東洋医学
カラダ全体をみて、産後うつの精神状態を改善していくのが東洋医学です。常に心と体を一緒に考えて施術します。
先程も述べましたが、心だけが元気、体だけが元気ということはありません。心を元気にするには体も元気にする必要があります。逆も同じで体を元気にするには心も元気にしないといけません。
産後うつでご相談くださる方でお体の症状が何もない方はいませんでした。ですから、お体の症状もうつも一緒に考えていくのが東洋医学なのです。
心とカラダは繋がっていると考える東洋医学
東洋医学ではなぜ心と体を一緒にみていくのでしょうか。私たち鍼灸師はもう当たり前になってしまいましたが、東洋医学についての知識がないと理解できないと思いますので掘り下げて説明します。
東洋医学では「五臓」で施術方針を決めていきます。体中に361このツボがあり、それらが5つに分類されていて、その5つが「五臓」となります。
五臓について
- 肝臓
- 心臓
- 脾臓
- 肺
- 腎臓
五臓はこの5つです。これらのグループには深く関係する感情があります。
- 肝臓・・・怒
- 心臓・・・喜
- 脾臓・・・思
- 肺・・・憂(悲)
- 腎臓・・・恐(驚)
それぞれのツボの働きに問題がなければ心身ともに元気ですが、どこか一つでもツボの働きが悪ければ、その働きが悪いツボの症状が出ます。
例えば「肺」のツボの働きが悪ければ悲しくなりやすいという特徴があり、その他に肩こりがひどく出たり(産後で授乳しているから当たり前!という考え方ではありません)肌荒れがひどくなったりします。また「肝」のツボの調子が悪ければイライラしやすいし、筋肉がつったり痙攣しやすくなるといった特徴もあります。それぞれのツボの特徴とお困りの症状を照らし合わせて、ツボの調子を上げていくのです。
こういった考えから、心と体を一つとしてみていますので
- うつにはこの薬
- ダルさには栄養剤
- 肌荒れにはこの薬
とは考えす、全てを包括してうつもアレもコレも取っていくように施術方針を考えていきます。
頑張りすぎてしまう人に多い
これは産後だけに限った話ではありませんが「うつ」は心や体がツラくても耐えてしまう人に多いです。先程の話で、ツボの働きが調子が悪いと心身とも何らかの症状が出ると書きましたが、例えば
- 気分が上がらない
- やる気が起きない
- 気が乗らない
など、お体に症状が出る前に少しだけ気分の変化が起きます。しかし、この程度では家事も育児も仕事も休む人はなかなかいません。本当はこの時点で気分転換や気晴らしをすることで、これ以上に悪化することを防げたりもしますが、やはりこの程度では休めないでしょう。
ここを耐えると今度はお体に症状が出ます。体が重い、怠い、肩こり、眠いなどから便秘、頭痛、眼精疲労とこれもまた休む程ではないし、病院に行くほどでもない症状がでます。これもお体からのサインですが、この程度で休んでいる人はいないし少し我慢すれば大丈夫という方が多いです。
このくらいの症状で鍼灸院に相談に来る方は、体調の様子を見るのが上手な方ですね。鍼灸でサポートしながら家事や育児、仕事もこなしつつ回復していく印象があります。ですが、これも我慢してサポートもなく、辛い状態を送り続けるとうつ状態になり心身ともに動く気力が起きなくなり、家族に連れられ病院へ行ってみたら即入院だった話を耳にします。
おわりに
産後うつは気持ちの問題や気分の問題だけではなくお体の問題です。産後に周囲の協力をあまり得られない環境のご夫婦やいろいろなことを一人で抱えてしまいがちな奥さんは、特に旦那さんが奥さんの様子を常に気にかけていてほしいです。
最近では行政のサポートなどもありますし入院施設のある婦人科では数日宿泊できるサービスもあります。もちろん鍼灸師としては、週に1度でも奥さんが鍼灸に来られるお時間を作ってていただくことオススメします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。