
東洋はり灸院 統括院長の石丸です。
今回は「サウナが合わない人とは?」と題してお話ししたいと思います。
インターネットなどでサウナの効果を調べると、保湿効果や血流の改善、新陳代謝の促進など、さまざまなプラス面が紹介されています。これらの効果を否定するつもりはありませんが、東洋医学的にはサウナが合わない体質も存在するので、この点についてお伝えします。
【動画解説】サウナが合わない人の特徴
※効果には個人差がございます。
サウナが合わないタイプ
結論から言うと、五臓六腑の肺が弱い人にはサウナは合いません。
東洋医学では、体質は五臓の色体表から以下の5つのタイプに分けられます。
- 肝臓系の体質の人
- 心臓系の体質の人
- 消化器系の体質の人
- 肺の体質の人
- 腎臓の体質の人
この中でも肺の体質、つまり肺が弱い人にはサウナは合いません。
肺が弱い人の特徴
肺が弱い人とは、小児喘息だった人や喘息気味、咳が出やすい、風邪をひきやすいなどの体質の人を指します。これに加えて、肺が弱い人には以下のような特徴もみられます。
- 鼻に症状が出やすい
- 大腸の症状がある(便秘、下痢、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎)
- 皮膚症状がある(乾燥肌)
- 末端冷え性
- 朝に症状が出る(腰痛、首痛、起きられない、頻尿)
- 動悸がする など
なぜこれらの症状が肺と関係するのかは、五臓の色体表を見るとわかります。五臓の色体表を横に見ていくと、肺と大腸、鼻、皮膚はすべてつながっています。ですので、喘息や風邪をひきやすい体質の肺が弱い人は、同じタイプである大腸や鼻、皮膚に関する症状も出やすいと考えられています。
肺と皮膚のつながり
では、なぜ肺が弱い人はサウナが合わないのでしょうか。先ほどご説明したとおり、肺と皮膚はつながっています。人は皮膚の開閉によって汗をかきますが、サウナは無理やり汗をかかせるものです。つまり、皮膚を無理やり働かせることになるため、その負担が肺にかかってしまうのです。
イメージとしては、肺が現場監督の役割を果たしており、肺が弱い人に見られる特徴(鼻や大腸、皮膚、末端冷え性、朝の症状、動悸など)をコントロールしていると考えてください。皮膚が無理やり働かされると、その監督役である肺にも負担がかかります。つまり、肺が弱い人にとってのサウナは、もともとの体質に対してさらなる負荷をかけ、逆に体調を崩す原因となる可能性があるのです。
このように東洋医学的な視点からみると、肺、鼻、大腸、皮膚、末端冷え性、朝の症状、動悸などの症状がある人には、サウナはあまりオススメできません。
無理やり汗をかかせるサウナ
また、普段からあまり汗をかかない人は、皮膚の開閉がうまくできていない可能性があります。つまり、現場監督の役割を果たす肺が弱く、しっかりと機能していないと考えられます。
皮膚の開閉がうまくいかない状態で、無理にサウナで汗をかかせることは、あまり良くありません。本来は肺を強化し、皮膚の開閉がスムーズにできる体質に整えてからサウナに入る方が理にかなっています。
逆に、ものすごく汗をかく多汗症の人も、皮膚の開閉がうまくできていません。開きっぱなしの状態になっているため、東洋医学的には肺の機能が十分でないと考えられます。この場合も、肺が弱いためサウナは負担となります。これは、胃が弱い人が過食をしているようなものです。胃が弱いにもかかわらず、たくさん食べると胃に負担がかかってしまうことをイメージするとわかりやすいかもしれません。
体質を改善してからサウナへ
このように、肺が弱い人にみられる症状がある人は、実はサウナはあまり合っていません。こういった人は東洋医学で肺の機能を高め、症状がない状態になってからサウナに入る方が良いでしょう。そうすれば、冒頭で述べた保湿効果や血流の改善、新陳代謝の促進といったサウナの効果を、デメリットなく直接受けられると思います。
私自身はサウナに行く習慣はありませんが、近年、サウナは非常に流行しています。体に負担をかけずにサウナの効果を得るための参考にしていただければと思います。