統括院長の石丸昌志です。
わたしたちが子どもの頃から、牛乳は身体にいいといわれてきました。しかし、近年は牛乳に関するよくないウワサを耳にするようになり、不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに、毎日飲むのであれば牛乳よりもお茶をオススメしますが、牛乳に対して誤った情報を信じるのも要注意です。
そこで今回は、現役鍼灸師が牛乳についての正しい知識をお届けいたします。
牛乳を飲むようになったのは学校給食が始まり
当店のお客様の中にも、カルシウムの摂取や骨にいいからという理由で牛乳を飲んでいる方がたくさんいらっしゃいます。もちろんわたしも幼い頃から大学まで、牛乳をたくさん飲んでいました。
しかし、2014年に小児科医の真弓定夫先生が出版された『牛乳はモー毒?』という書籍に、このようなことが書かれていました。
- 「牛乳は産業のために子どもに飲ませるようになった」
- 「牛乳製品を売ろうとして、日本は粉ミルクを推進した」
この内容に驚いたわたしは、本に書かれていることが事実かどうか確かめました。
日本に牛乳が普及されるまで
まずは日本で牛乳が普及した背景ですが、日本で牛乳が初めて飲まれたのは、飛鳥時代(645年)です。そして庶民に広がったのは、明治の初めの頃(1871年)といわれています。
さらに1889年(明治22年)に、お寺の中に建てられた小学校で生活が苦しい家庭の子どもに無償で昼食を用意したのが、日本における学校給食の始まりです。この頃は、おにぎりや焼き魚、みそ汁などが給食として出されていました。
その後、戦後の食糧不足でユニセフから救援物資が届き、子どもの成長のために動物性たんぱく質がかかせないという主張から、給食に脱脂粉乳が採用されました。40年程前の昭和後期(1980〜1986年)には洋風化が進み、パンと牛乳、カレーライス、サラダ、果物など給食のバリエーションも多様化したようです。
2022年現在では、生徒の国際化や食育の導入で牛乳を廃止している地域もあり、給食センターの質でもばらつきが見られるため、各地で地域差が出ている状態となっています。
このように牛乳が子どもたちに広まった背景を調べてみるに、書籍にあるような事実はないように感じました。
粉ミルクについて
また粉ミルクに関しては、母乳より粉ミルクを推進する歴史はありますが、これは日本ではなく海外で起きた内容です。現在は母乳から免疫力を獲得でき、粉ミルクからは高い栄養価を得ることができるため、両方を併用している方もたくさんいます。
つまり歴史的な背景を見ても、過度に牛乳を避けなければいけないという事実はありません。ですが毎日飲むとしたら、日本人はお米とお茶が適していると現役鍼灸師は感じるのです。
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人は温めて飲もう
牛乳を飲むとなぜかお腹がゴロゴロしたり、お腹を壊したりする方がいらっしゃいます。これは日本人の持つ、牛乳を消化するための『ラクターゼ』という酵素が少ないからだといわれていました。しかしこれは間違いで、腸内細菌が多ければ分解して吸収できることがわかっています。
お腹をくだすから牛乳は悪いものだ、という安易な判断は少しいただけません。牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる方は、数回に分けて飲んだり温めたり、料理や加工食品から摂取すると問題が起こりにくくなりますよ。
世界の4大酪農国に骨粗しょう症が多いというウワサは間違い
世界4大酪農国といわれるアメリカ、スウェーデン、デンマーク、フィンランドでは、骨粗しょう症が多いという話があります。これは、牛乳を飲むと骨粗しょう症になりやすいというウワサがあるためです。
実際北欧では、他国と比べて骨折が多い傾向にありますが、これは身長差や日照時間、運動の種類や量、食生活などの複合的な原因があります。つまり、牛乳を飲むと骨粗しょう症になるという事実自体が間違いなのです。
ちなみに2020年時点で世界一牛乳を飲んでいる国は、インドであることがわかっています。インドも日本と同じように、コーヒーやチャイに入れるなど日常的に牛乳を飲んでいますが、もちろん骨粗しょう症が多いという報告はありません。
牛乳以外でもカルシウムは十分摂れる
牛乳はカルシウムが豊富なため、「カルシウムを摂るなら牛乳で」と考える方が多いです。
でも実は、牛乳100gあたりにカルシウムが110mg含まれているのに対し、
- 小松菜は170mg
- 大根の葉は260mg
- 切り干し大根に500g
- わかめ820mg
- 昆布は940mg
- にぼしはに2,200mg
も含まれています。
これを見ればわかる通り、牛乳以外にもカルシウムが摂れる食べ物はたくさんあるのです。
毎日飲み続けるならカテキンが入ったお茶が良い理由
牛乳や乳製品の基準で、1日に必要なカルシウムの推奨量は約100mgといわれています。これを牛乳で換算するとコップ1杯が適量です。
ただし、牛乳は脂肪やカロリーも多いため、飲みすぎは身体によくありません。毎日飲み続けるのであれば牛乳ではなく、カロリーが少なく余分なものは尿として排出されるお茶がオススメです。
また健康面を考えても、お茶は非常に優れています。なぜならお茶には、抗ガン作用や高血圧予防、風邪予防、虫歯予防、抗酸化作用、抗ウイルス作用などが期待できるカテキンが含まれているからです。
牛乳もお茶も摂りすぎには注意が必要ですが、毎日飲むなら牛乳でなくお茶を飲むようにしましょう。
飲み物や食事に関するご相談も東洋はり灸院へ
健康のために毎日摂りたい栄養や飲み物のことでお困りの方は、東洋医学専門の東洋はり灸院におまかせください。
当店では、東洋医学に則った食に関する正しい知識やアドバイスをお伝えすることもできます。まずはお気軽に、当店までご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。